
住居費の負担を軽減したい方にとって、都営住宅は非常に魅力的な選択肢です。しかし、「都営住宅に入居できる収入の上限は?」「資産がある場合はどうなる?」「家賃はどのように決まるの?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。この記事では、都営住宅の入居条件となる収入制限や資産の注意点、家賃相場や計算方法、さらには家賃を抑える制度についてわかりやすく解説します。
都営住宅の入居資格と収入制限
都営住宅に入居するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。最も重要なのが「収入基準」です。
入居資格の基本条件
- 東京都内に居住または勤務していること
- 世帯収入が定められた基準内であること
- 住宅に困窮していること(持ち家がない、狭小な住宅に住んでいるなど)
- 暴力団員でないこと
収入基準と上限
都営住宅の収入基準は、世帯の人数や世帯構成によって異なります。以下に収入基準の上限をまとめました:
| 申込区分 | 世帯構成 | 月収上限 | 年収上限(目安) |
|---|---|---|---|
| 一般世帯 | 単身〜2人 | 158,000円 | 約256万円 |
| 一般世帯 | 3人以上 | 214,000円 | 約346万円 |
| 優遇世帯(高齢者・障がい者等) | 単身〜2人 | 214,000円 | 約346万円 |
| 優遇世帯(高齢者・障がい者等) | 3人以上 | 259,000円 | 約420万円 |
| ひとり親世帯 | – | 259,000円 | 約420万円 |
| 多子世帯(未就学児2人以上) | – | 301,000円 | 約487万円 |
| 若年ファミリー(夫婦とも39歳以下) | – | 322,000円 | 約521万円 |
※月収は「総収入から給与所得控除等を引いた金額÷12ヶ月」で計算されます。実際の手取り収入よりも低く計算されるため、手取り収入ベースではもう少し高い金額でも申し込める場合があります。
都営住宅の収入計算方法
収入計算は以下の式で行われます:
- 世帯全員の年間総収入(給与・年金・事業所得など)を合算
- 給与所得控除、障害者控除、特別障害者控除、寡婦(夫)控除などを差し引く
- その金額を12で割った額が「月収」として扱われる
例えば、年収400万円の給与所得者の場合、給与所得控除(約120万円)を引いた280万円を12で割った約23.3万円が「月収」とみなされます。
資産や貯金がある場合の注意点
都営住宅の申し込みにあたり、資産や貯金の額に明確な制限はありませんが、以下の点に注意が必要です:
- 住宅困窮度の審査: 高額な資産や貯金がある場合、住宅に困窮していないとみなされる可能性があります。
- 申告義務: 申込書類には資産状況の申告項目があり、虚偽の申告は入居取消しの原因になります。
- 資産活用の可能性: 高額の資産がある場合は、その資産で住宅問題を解決できる可能性があるとみなされることがあります。
- 生活保護との関係: 生活保護を受給している場合、一定額以上の資産があると生活保護の受給資格に影響する場合があります。
一般的に、生活に必要な程度の預貯金(数百万円程度)であれば問題になることは少ないですが、数千万円の預貯金や複数の不動産所有などがある場合は、入居審査に影響する可能性があります。
都営住宅の家賃の決まり方
都営住宅の家賃は「応能応益家賃制度」という仕組みに基づいて決められています。この制度は、入居者の収入(応能)と住宅の立地・広さ・築年数など(応益)の両方を考慮して家賃を算出するものです。
家賃の基本的な構成要素
都営住宅の家賃を決める主な要素は以下の4つです:
- 入居者の収入: 世帯全体の年間収入
- 住宅の立地: 最寄り駅からの距離や周辺環境
- 住宅の広さ: 専有面積(㎡)
- 住宅の築年数: 建物の経過年数による減価償却
都営住宅の家賃計算方法と収入による影響
収入分位(階層)による家賃設定
都営住宅では、入居者の収入に応じて「収入分位(階層)」が設定され、これに基づいて家賃が算出されます。収入分位は全部で4段階あります:
| 収入分位 | 月収 | 年収(目安) | 家賃への影響 |
|---|---|---|---|
| I分位 | 10.4万円以下 | 約124.8万円以下 | 最も低い家賃設定 |
| II分位 | 10.4万円超~15.8万円以下 | 約124.8万円超~189.6万円以下 | やや低い家賃設定 |
| III分位 | 15.8万円超~21.4万円以下 | 約189.6万円超~256.8万円以下 | 標準的な家賃設定 |
| IV分位 | 21.4万円超~31.3万円以下 | 約256.8万円超~375.6万円以下 | やや高い家賃設定 |
※収入超過者(月収31.3万円超)は、近傍同種の住宅の家賃に近づく形で別途家賃が設定されます。
具体的な家賃相場の例
実際の都営住宅の家賃相場を、立地別、間取り別にいくつか例を挙げてみましょう:
23区内(都心部)の場合
- 1DK(約30㎡):約1.5万円~4万円
- 2DK(約40㎡):約2万円~5万円
- 3DK(約50㎡):約2.5万円~6万円
多摩地区の場合
- 1DK(約30㎡):約1.2万円~3.5万円
- 2DK(約40㎡):約1.7万円~4.5万円
- 3DK(約50㎡):約2.2万円~5.5万円
※これらは一般的な相場であり、実際の家賃は物件の具体的な条件により異なります。
家賃計算の実例
例えば、世帯年収200万円(月収約16.7万円)の3人家族が、築15年の2DK(45㎡)の都営住宅に住む場合:
- 収入分位は「III分位」に該当
- 立地・広さ・築年数などから「近傍同種の住宅の家賃」(民間相場)を算出
- 収入分位に応じた「応益係数」を掛け合わせる
- 最終的な家賃は約3.5万円程度になる可能性があります
都営住宅の家賃をさらに抑える制度
収入減少に対応する家賃減額制度
入居後に収入が減少した場合、申請により家賃が減額される制度があります:
- 収入が著しく低下した場合: 失業や病気などにより収入が大幅に減少した場合、申請により家賃が最大で50%減額されることがあります。
- 高齢者・障がい者世帯への減額: 65歳以上の高齢者や障がい者がいる世帯は、一定の条件を満たせば家賃が減額されることがあります。
福祉減額制度
以下のような世帯は、福祉減額制度を利用できる場合があります:
- 生活保護受給世帯
- 高齢者のみの世帯(収入要件あり)
- 障がい者がいる世帯(収入要件あり)
- ひとり親世帯(収入要件あり)
減額率は世帯の状況によって異なりますが、通常10%~50%程度の減額が適用されます。
都営住宅と東京都内の民間賃貸の家賃相場比較
エリア別の比較
23区内の場合
| 間取り | 都営住宅 | 民間賃貸 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1DK | 1.5万円~4万円 | 6万円~10万円 | 約4.5万円~6万円安い |
| 2DK | 2万円~5万円 | 8万円~15万円 | 約6万円~10万円安い |
| 3DK | 2.5万円~6万円 | 10万円~20万円 | 約7.5万円~14万円安い |
多摩地区の場合
| 間取り | 都営住宅 | 民間賃貸 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1DK | 1.2万円~3.5万円 | 5万円~8万円 | 約3.8万円~4.5万円安い |
| 2DK | 1.7万円~4.5万円 | 6万円~10万円 | 約4.3万円~5.5万円安い |
| 3DK | 2.2万円~5.5万円 | 7万円~12万円 | 約4.8万円~6.5万円安い |
メリット・デメリットの比較
都営住宅のメリット
- 家賃が非常に安い
- 長期間住み続けられる安定性
- 収入に応じて家賃が決まる公平性
- 家賃減額制度などのセーフティネット
都営住宅のデメリット
- 倍率が高く入居するのが難しい(通常10倍~100倍以上)
- 希望のエリアや間取りを選びにくい
- 築年数が経過している物件が多い
- 収入が増えると家賃も上昇する
都営住宅に入居後の収入超過と明渡し義務
収入超過時の扱い
都営住宅に入居した後に収入が増加した場合、以下のように扱われます:
| 収入超過の度合い | 月収基準 | 措置内容 |
|---|---|---|
| 収入超過者 | 31.3万円超 | 割増家賃の適用(近傍同種の住宅の家賃に近づく) |
| 高額所得者 | 39.7万円超(5年連続) | 明渡し努力義務の発生 |
| 高額所得者 | 48.7万円超(引続き3年間) | 明渡し請求(法的強制力あり) |
資産形成と注意点
都営住宅入居後に資産が増えた場合(相続、宝くじ当選など)でも、それだけで退去を求められることはありません。ただし、収入基準を上回る場合には上記の措置が適用されます。
- 資産申告義務: 入居後の定期的な収入申告時に、資産状況の大幅な変化がある場合は申告が必要な場合があります。
- 不正受給の防止: 意図的に収入や資産を隠して家賃を不当に低く抑えることは不正行為となります。
- 生活実態の確認: 定期的な入居者調査があり、実際の生活水準と申告内容に大きな乖離がある場合は調査の対象となる可能性があります。
まとめ
都営住宅は、収入制限を設けることで、真に住宅に困窮している方々に住まいを提供する制度です。入居前の収入・資産状況と入居後の変化に注意しながら制度を利用することが大切です。
家賃は入居者の収入と住宅の条件によって決まり、民間賃貸と比較すると非常に安価です。特に低所得者や高齢者、障がい者世帯などにとって大きな住居費の節約になります。さらに、収入減少時の家賃減額制度や福祉減額制度を活用することで、より負担を軽減することができます。
ただし、入居倍率が非常に高いため、申し込みの際は複数回のチャレンジが必要になる場合が多いでしょう。また、最新の募集情報や詳細な条件については、東京都住宅供給公社の公式ウェブサイトや窓口で確認することをお勧めします。
適切な住まいを見つけ、住居費の負担を軽減するための選択肢として、都営住宅制度をぜひ検討してみてください。
都営住宅のインターネット回線契約
これからお住まいを検討されている方へ注意点があります。

