同軸ケーブルとは?ケーブルテレビで使われるインターネット回線について

J:COMやケーブルテレビ、テレビアンテナやインターネット接続でよく見かける「同軸ケーブル」。これが現代の通信インフラでどのような役割を果たしているのか?

同軸ケーブルとは

同軸ケーブル(Coaxial Cable)とは、電気通信に使われる被覆電線の一種で、断面が同心円状の構造を持つケーブルです。中心部分の導体(芯線)を絶縁体が覆い、その外側を編組状の外部導体が囲み、最後に外部被覆(シース)で保護する4層構造が特徴です。

同軸ケーブルの構造と原理

同軸ケーブルは主に以下の部分から構成されています:

構成部分 材質と役割
内部導体 銅線やアルミ線などで、電気信号を伝送する
絶縁体 ポリエチレンなどで、内部導体と外部導体を絶縁する
外部導体 銅線の編組や金属箔で、シールドの役割を果たし外部からの電磁干渉を防ぐ
外部被覆 ビニール等で、ケーブル全体を保護する

この構造により、高周波信号を効率よく伝送し、外部からの電磁干渉を最小限に抑えることができます。

同軸ケーブルが使われる主な用途

同軸ケーブルは様々な分野で活用されていますが、特に以下の用途で重要な役割を果たしています:

テレビアンテナ接続

最も身近な用途がテレビアンテナからテレビ受像機への接続です。地上波放送やBS/CS放送の受信に同軸ケーブルが使われています。この用途では、主に75Ωの特性インピーダンスを持つ同軸ケーブルが使用されます。

インターネット回線としての利用

CATVインターネット(ケーブルテレビ回線を利用したインターネット接続)で使用されています。J:COMなどのケーブルテレビ事業者が提供するインターネットサービスでは、同軸ケーブルを使ってデータ通信を行います。

 

J:COM NET 1Gコース(同軸ケーブルを使った1ギガ回線)

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DOCSIS3.1規格

J:COMのインターネット回線ではDOCSIS3.1を達成。

特徴 DOCSIS 3.1 DOCSIS 3.0 DOCSIS 2.0
規格化 2013年10月
下り速度 (最大) 10Gbps 160Mbps 30Mbps
上り速度 (最大) 1Gbps 120Mbps 30Mbps

DOCSIS 3.1規格により、J:COMは同軸ケーブルで下り最大10Gbpsの通信速度を達成しています。

戸建て向けは10Gbps、集合住宅向けは1Gbpsと光ファイバーに並ぶ超高速回線として提供されています。

 

無線通信機器の接続

無線機とアンテナを接続する給電線として使用されます。アマチュア無線やプロフェッショナルな通信設備では、50Ωの特性インピーダンスを持つ同軸ケーブルが一般的です。

測定機器や音声・映像の信号伝送

高周波測定機器の接続や、業務用音声・映像機器の信号伝送にも同軸ケーブルが使用されます。特に高品質な信号伝送が求められる放送業界では重要な役割を担っています。

インターネット回線の種類と同軸ケーブルの位置づけ

インターネット接続に使われる回線は複数あり、その中での同軸ケーブルの位置づけを理解しておくことが重要です。

主なインターネット回線の種類

現在提供されている主なインターネット回線は以下のとおりです:

回線の種類 使用媒体 最大速度(目安) 特徴
FTTH 光ファイバー 1Gbps~10Gbps 高速・安定、光ファイバーが家庭まで届く
CATV 同軸ケーブル・光ファイバー混在 100Mbps~1Gbps テレビサービスとセット、地域限定
ADSL 電話回線(銅線) 50Mbps程度 距離で速度低下、サービス終了中
モバイル回線 無線(電波) 数十Mbps~1Gbps 工事不要、通信制限あり

CATVインターネットでは、局舎から地域の配線ポイントまでは光ファイバーを使い、そこから各家庭へは同軸ケーブルを使うハイブリッド方式(HFC: Hybrid Fiber-Coaxial)が一般的です。

電話回線と同軸ケーブルの違い

長年使われてきた電話回線(銅線)と同軸ケーブルには、以下のような違いがあります:

比較項目 電話回線(銅線ペア) 同軸ケーブル
構造 より対線(2本の銅線) 同心円状の4層構造
シールド効果 低い(外部干渉を受けやすい) 高い(外部導体がシールドの役割)
伝送できる周波数 比較的低い 広帯域(高周波まで対応)
インターネット用途 ADSL、VDSL CATVインターネット
家庭での一般的配線 電話用配線 テレビアンテナ用配線

電話回線は声の通話用に設計されたもので、高周波信号の伝送には制限がありますが、同軸ケーブルは広い周波数帯域の信号を伝送できるため、テレビ信号やインターネットデータの伝送に適しています。

光ファイバーと同軸ケーブルの違い

現在のインターネット回線の主流である光ファイバーと同軸ケーブルを比較してみましょう:

比較項目 同軸ケーブル 光ファイバー
信号の種類 電気信号 光信号
通信速度 中程度(100Mbps~1Gbps) 高速(1Gbps~10Gbps)
伝送距離 数百m程度 数十km~数百km
外部干渉 シールドにより軽減されるが存在 ほぼ受けない
帯域幅 比較的狭い 非常に広い
インターネット用途 CATVインターネット FTTH、FTTB等

光ファイバーは同軸ケーブルよりも通信速度や伝送距離で優れていますが、既存のケーブルテレビ網を活用できる点や、特定の用途では同軸ケーブルの方が適している場合もあります。

同軸ケーブルを使ったインターネット接続サービス

CATV(ケーブルテレビ)インターネット

ケーブルテレビ事業者が提供するインターネット接続サービスで、J:COMなどが代表的です。このサービスはHFC方式を採用していることが多く、以下のような特徴があります:

特徴:

  • テレビサービスとインターネットのセット提供
  • 同軸ケーブルの既存インフラを活用
  • 提供エリアが限定されている
  • 下り(ダウンロード)の速度が上り(アップロード)より速い場合が多い

J:COMのインターネットサービス

J:COMは日本最大のケーブルテレビ事業者で、多様なインターネット接続サービスを提供しています。従来の同軸ケーブルを利用したサービスに加え、現在では光ファイバーを活用した高速インターネットサービスも展開しています

プラン例 下り最大速度 上り最大速度 特徴
10ギガプラン(戸建て) 10Gbps 10Gbps FTTHによる最新の超高速プラン
1ギガプラン(マンション) 1Gbps 100Mbps FTTBによる集合住宅向け高速プラン
320Mコース 320Mbps 30Mbps FTTNによる従来のプラン
40Mコース 40Mbps 10Mbps エントリープラン

J:COMは提供エリアや建物の種類によって、以下の複数の接続方式を採用しています:

  1. KDDIの光ファイバー網を活用:auのエリア内では、KDDIの光ファイバー網を利用した高速インターネットサービスを提供
  2. NTTフレッツ光との提携:auエリア外では、NTTのフレッツ光回線と提携したサービスを提供
  3. 独自のHFC(Hybrid Fiber-Coaxial)方式:ケーブルテレビ網を活用し、基幹部分は光ファイバー、末端部分は同軸ケーブルを使うハイブリッド方式

これらの多様な接続方式により、マンション集合住宅では最大1Gbps、戸建て住宅では最大10Gbpsという新時代のインターネット回線サービスを実現しています。J:COMのサービスは、テレビ、インターネット、電話のトリプルプレイと呼ばれるサービスをセットで提供する点が特徴です。

 

同軸ケーブルと関連する接続形態

同軸ケーブルとの関連で、様々なネットワーク接続形態があります。特に重要なのが以下の方式です:

FTTN(Fiber To The Node)

光ファイバーを地域の配線ノード(集線装置)まで引き込み、そこから各家庭へは同軸ケーブルや銅線で接続する方式です。HFC方式もこの一種と言えます。

特徴:

  • 光ファイバーと同軸ケーブルのハイブリッド
  • 比較的広いエリアへの展開が容易
  • FTTHよりも設備投資コストが低い

ハイブリッド方式(HFC)

JCOMが採用する1ギガプランの配線方式

  • 光ファイバーと同軸ケーブルのハイブリッド
  • 比較的広いエリアへの展開が容易
  • FTTHよりも設備投資コストが低い
  • FTTHよりも速度が出る建物もある

 

FTTB(Fiber To The Building)

光ファイバーを建物まで引き込み、建物内は既存の同軸ケーブルや電話回線を利用する方式です。主に集合住宅やオフィスビルで採用されています。

特徴:

  • 建物内は既存配線を活用
  • 個別の光ファイバー工事が不要
  • 建物内の配線状況により速度が変わる

VDSL(Very high-bit-rate Digital Subscriber Line)

マンションなどの集合住宅でよく使われる接続方式の一つです。建物の共用部分までは光ファイバー、各部屋までは既存の電話回線を使ってデータを伝送します。

特徴:

  • 最大速度は100Mbps程度
  • 既存の電話回線を利用するため追加工事が少ない
  • 距離による速度低下がある
  • 同軸ケーブルを使った方式よりも通常は速度が劣る

同軸ケーブルの種類と選び方

同軸ケーブルにも様々な種類があり、用途によって適切なものを選ぶ必要があります:

JIS規格の同軸ケーブル

日本で多く使われるJIS規格の同軸ケーブルには、以下のような種類があります:

ケーブル種類 インピーダンス 主な用途 特徴
3C-2V, 4C-2V, 5C-2V 75Ω テレビアンテナ接続 C型(75Ω)、数字が大きいほど太い
S-4C-FB, S-5C-FB 75Ω BS/CS放送対応 衛星放送用、低損失タイプ
3D-2V, 5D-2V, 8D-2V 50Ω 無線機アンテナ接続 D型(50Ω)、アマチュア無線用

JIS規格では、ケーブル名の最初の数字が外径の大きさ、「C」は75Ω、「D」は50Ωのインピーダンスを表しています。「S」は衛星放送対応を示します。

MIL規格(アメリカ軍規格)の同軸ケーブル

アメリカを中心に世界で広く使われるMIL規格の同軸ケーブルには、以下のような種類があります:

ケーブル種類 インピーダンス 主な用途 特徴
RG-6/U 75Ω テレビ・CATV接続 一般的なテレビ用ケーブル
RG-11/U 75Ω 長距離テレビ接続 RG-6より太く、損失が少ない
RG-58/U 50Ω 無線機・ネットワーク 細めで柔軟性がある
RG-8/U 50Ω 高出力無線機 太くて損失が少ない

RGはRadio Guideの略で、数字は型番を表します。「/U」は一般用途(Universal)を意味します。

同軸ケーブルを選ぶポイント

同軸ケーブルを選ぶ際の主なポイントは以下の通りです:

  1. インピーダンス:用途に合ったインピーダンス(テレビなら75Ω、無線機なら50Ω)を選ぶ
  2. 周波数帯域:利用する周波数に対応したケーブルを選ぶ
  3. ケーブルの太さ:長距離や高周波では太いケーブルが有利、取り回しを重視するなら細めのケーブル
  4. シールド性能:電磁干渉が多い環境では、二重シールドなど高性能なものを選ぶ
  5. コネクタの種類:接続する機器に合ったコネクタ(F型、BNC型など)を選ぶ

同軸ケーブルを使ったインターネット接続の特徴

メリット

同軸ケーブルを利用したCATVインターネットのメリットには以下のようなものがあります:

  • テレビサービスとのセット割引:ケーブルテレビとインターネットをセットで契約すると料金割引がある場合が多い
  • 既存設備の活用:テレビ用の同軸ケーブルがすでに引き込まれている場合、追加工事が少なくて済む
  • 安定した速度:ADSLのように距離による速度低下が少ない
  • 地域に密着したサポート:地域密着型のケーブルテレビ会社ならではの細やかなサポートが受けられる場合がある

デメリット

一方で、デメリットもあります:

  • 提供エリアの限定:サービスが提供されていない地域がある
  • 光回線より速度が遅い:最新の光回線サービスと比較すると、最大速度で劣る場合が多い
  • 上り速度の制限:多くの場合、上り(アップロード)速度が下り(ダウンロード)速度より大幅に遅い
  • 共有回線による速度変動:同じエリア内の利用者で帯域を共有するため、混雑時に速度が低下する可能性がある

同軸ケーブルと光ファイバーの選択

どちらを選ぶべきか

同軸ケーブル(CATV)と光ファイバー(FTTH)のどちらを選ぶべきかは、以下の点を考慮して判断するとよいでしょう:

考慮点 同軸ケーブル(CATV)を選ぶ場合 光ファイバー(FTTH)を選ぶ場合
速度重視 下り超高速重視、上りは高速で十分 上り下りとも超高速重視、最高速度が必要
テレビサービス ケーブルテレビも利用したい テレビはインターネットTVや他の方法で視聴
住居形態 FTTH工事ができないマンション、
集合住宅、市営住宅
戸建て住宅
提供エリア CATV会社のサービスエリア内 光回線のサービスエリア内
用途 4K8K動画の視聴
オンラインゲーム
多人数同時接続
大容量ファイル転送
高画質動画配信
多人数同時接続

一般的に、最高速度や将来性を重視するなら光ファイバー、テレビとのセットや既存設備活用なら同軸ケーブルが選択肢となります。

 

両方の特性を活かしたハイブリッド方式

現在JCOM NETをはじめとする多くのCATV事業者は、基幹部分には光ファイバーを使い、末端部分に同軸ケーブルを使うHFC方式を採用しています。これにより、光ファイバーの高速性と同軸ケーブルの経済性を両立させています。ダウンロード速度は非常に高速です。

また、JCOMでは、FTTH型のサービスも提供し始めており、従来のCATV網を活用しながら光ファイバーへの移行も進めています。

 

 

同軸ケーブルの将来性

DOCSIS技術の進化

同軸ケーブルを使ったインターネット接続の規格であるDOCSIS(Data Over Cable Service Interface Specification)は、バージョンアップにより高速化が進んでいます:

DOCSIS バージョン 最大下り速度 最大上り速度 特徴
DOCSIS 3.0 1Gbps程度 100Mbps程度 複数チャンネルの束ね技術
DOCSIS 3.1 10Gbps 1〜2Gbps 高効率変調方式の採用
DOCSIS 4.0 10Gbps 6Gbps 全二重通信、周波数拡張

DOCSIS技術の進化により、同軸ケーブルのインフラを活用しながらも、光ファイバーに近い速度を実現する可能性が広がっています。

光ファイバー化の流れ

一方で、長期的には光ファイバーへの移行は避けられない流れです:

  • 多くのCATV事業者がHFC方式からFTTH方式への移行を検討している
  • 新規敷設エリアでは最初からFTTHを採用するケースが増えている
  • 既存の同軸ケーブルインフラの設備更新タイミングで光ファイバー化が進む

ただし、同軸ケーブルは設備コストや互換性の面でメリットがあるため、特に既存設備がある地域では当面は共存していくことが予想されます。

まとめ

同軸ケーブルは、その特性によりテレビアンテナ接続やCATVインターネットなど、様々な通信インフラで重要な役割を果たしてきました。光ファイバーの普及により主役の座は譲りつつありますが、既存インフラとしての価値や、特定用途での優位性は依然として高いものがあります。

インターネット回線を選ぶ際には、同軸ケーブルを使ったCATVインターネットも選択肢の一つとして検討する価値があります。特にケーブルテレビとのセット利用や、既に配線が引き込まれている場合は、利便性の高い選択となるでしょう。

技術の進化により、同軸ケーブルを使ったインターネット接続も高速化が進んでいますが、将来的には光ファイバーへの移行が進むと予想されます。通信環境の改善を検討する際は、現在の利用状況だけでなく、将来的なニーズや技術トレンドも考慮に入れることが重要です。

 

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