
周波数帯(Sub6/ミリ波)の話に、通信の「方式」解説
「5G」が当たり前になった今、こんな疑問はありませんか?
- スマホの表示は「5G」なのに、思ったより速くない…
- 「5G SA」って最近聞くけど、何が違うの?
- 私のスマホは「真の5G」なの?
実は、一口に「5G」と言っても、電波の種類(Sub6/ミリ波)だけでなく、通信の方式(SA/NSA)にも大きな違いがあるんです。
この2つの軸を理解することが、5Gの謎を解くカギとなります。
「Sub6」「ミリ波」「NR化」という周波数の違いに加えて、5Gの真価を発揮させる「5G SA」について、解説します!
関連)WiMAXホームルーターSpeed Wi-Fi HOME 5G L13を5GSAに設定する方法

5G SAとは?「Sub6・ミリ波」NRとの違いは?
5Gの「周波数」3つ Sub6、ミリ波、NR化とは
すでにご存知かもしれませんが、5Gで使われる電波の通り道(周波数帯)には、個性豊かな3種類があります。
| 種類 | Sub6 (サブシックス) | ミリ波 (ミリは) | NR化 (転用5G) |
|---|---|---|---|
| キャッチコピー | バランスの取れた優等生 | 速さNo.1のスペシャリスト | 普及の立役者 |
| 通信速度 | 速い 🚀 | 超速い 🏎️💨 | 4Gより少し速い |
| エリアの広さ | 広い | 狭い(スポット的) | とても広い |
| 障害物への強さ | 強い | 弱い | とても強い |
| イメージ | 今の5Gの主役 | 未来の5Gのエース | 5G普及の縁の下の力持ち |
これらの違いは、いわば「どんな道(電波)を走るか」の違いです。
Sub6やミリ波という新しい高速道路を使いつつも、最初はNR化で今ある4Gの道を活用して、全国に5Gエリアを広げてきました。
もう一つの重要な軸:「通信方式」の違い
そしてここからが新しいポイントです。
5Gには「どんな道」を使うかに加え、「どうやって通信をコントロールするか」という方式の違いがあります。
それが「5G NSA(今までの5G)」と「5G SA(これからの5G)」です。
5GSA と NSA

今までの5G:NSA(ノンスタンドアロン)方式
ほとんどの5Gサービスは、この「NSA(Non-Stand Alone)」方式から始まりました。
これは、通信の頭脳である「コアネットワーク」という部分を、従来の4G設備に頼って5G通信を行う方式です。
- メリット: 4Gの設備を流用できるため、素早く5Gサービスを開始できる。
- デメリット: あくまで4Gの力を借りているため、5G本来の力(特に超低遅延・多数同時接続)を完全には発揮できない。「ハーフ5G」とも言える状態。
これからの5G:SA(スタンドアロン)方式
そして、いよいよ本命である「SA(Stand Alone)」方式が登場しました。
これは、基地局からコアネットワークまで、すべてを5G専用の新しい設備で実現する方式です。
メリット: 4Gに依存しないため、5Gの3大特徴「超高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」の全てを最大限に引き出せる。まさに「真の5G」です。
5G SAと従来の5G(NSA)の決定的違い
現在、私たちが利用している5Gの多くは「ノンスタンドアローン(NSA)」方式です。これと「スタンドアローン(SA)」方式の最も大きな違いは、コアネットワークにあります。

両者の違いをまとめると、以下のようになります。
| 項目 | NSA (ノンスタンドアロン) | SA (スタンドアロン) |
|---|---|---|
| 一言で言うと | 4Gの力を借りる5G(ハーフ5G) | 5Gだけで完結する「本物の5G」 |
| コアネットワーク | 4G用を流用 | 5G専用 |
| 真価を発揮する性能 | 超高速・大容量 | 超高速・大容量+超低遅延+多数同時接続 |
| 今の状況 | 主流の方式 | 対応エリア・機種が拡大中 |
つまり、同じSub6やミリ波の電波を使っていても、NSA方式かSA方式かで、そのポテンシャルが大きく変わってくるのです。
「真の5G」こと5GSA方式で、何が変わるのか?
では、5G SAが普及すると、私たちの生活や社会はどう変わるのでしょうか?
最大のキーワードは「ネットワークスライシング」です。
ネットワークスライシング:夢の「専用レーン」技術

ネットワークスライシングとは、1つの物理的な通信網を、用途に応じて仮想的に分割(スライス)し、それぞれに最適な通信環境を割り当てる技術です。
高速道路をイメージしてみてください。
- 自動運転車用の「超低遅延」レーン
- 高画質動画ストリーミング用の「高速・安定」レーン
- スマートメーターなどIoT機器用の「省エネ」レーン
このように、用途に合わせた「専用レーン」を作ることで、通信の混雑を防ぎ、それぞれのサービスが求める品質を確実に提供できるようになります。これは、5G SAだからこそ実現できる革新的な技術です。
5G SAが切り拓く未来のサービス
このネットワークスライシング技術によって、これまで夢物語だったサービスが現実になります。
- 自動運転・コネクテッドカー: 瞬時の通信で安全な走行をサポート。
- 遠隔医療: 医師がリアルタイムで高精細な映像を見ながら遠隔地から手術支援。
- スマート工場: 無数のロボットやセンサーを遅延なく接続し、生産性を飛躍的に向上。
- メタバース・XRライブ: 現実と見紛うほどのリアルな仮想空間体験や、遅延のないライブ配信。
5GSAが普及すると光回線は不要になる?
この疑問、多くの方が抱いていることでしょう。
結論から言うと、5G SAがスタンダードになっても、すぐに光回線が不要になる可能性は低いです。
しかし、両者の関係性は大きく変わり、「すべての人に光回線」から「ライフスタイルに合わせて最適な方を選ぶ」時代へと確実に移行していくでしょう。
なぜそう言えるのか、そして、あなたがどちらを選ぶべきか、以下のポイントで詳しく解説します。
「速度」だけじゃない!5Gと光回線の決定的な違い
5G SA(特にミリ波)の理論上の最高速度は、光回線を上回る可能性を秘めています。
しかし、インターネットの快適さは速度だけで決まるものではありません。「安定性」と「通信の専有性」という、非常に重要な違いがあります。
| 比較項目 | 5G SA (ホームルーターなど) | 光回線 |
|---|---|---|
| 一言でいうと | 手軽で高速な「空中の道」 | 盤石な安定性の「専用トンネル」 |
| ① 通信速度 | 瞬間的には光回線を超えることも。ただし、利用者の数や環境で変動。 | 常に安定して高速。プラン通りの速度が出やすい。 |
| ② 安定性 | △:無線のため、天候、障害物(壁など)、周辺の利用者数に影響されやすい。 | ◎:物理的なケーブルで接続するため、外部要因の影響をほぼ受けず、非常に安定。 |
| ③ 遅延(Ping値) | SA化で大幅に改善されるが、有線には及ばない場合が多い。 | ◎:遅延が極めて少なく、反応速度がシビアな用途に最適。 |
| ④ データ容量 | 「無制限」でも、短期間の大量利用で速度制限がかかる場合がある。 | ◎:完全無制限。どれだけ使っても速度制限の心配がない。 |
| ⑤ 手軽さ | ◎:工事不要。コンセントに挿すだけですぐ使える。(置くだけWi-Fiなど) | △:開通工事が必要な場合がある。 |
なぜ「安定性」がそんなに重要なのか?
「少し不安定でも、十分速いなら5Gでいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、私たちのインターネット利用は、ますます「安定性」を求める方向へ進化しています。
- オンラインゲーム: 一瞬のラグ(遅延)が勝敗を分けます。
- ビデオ会議/在宅勤務: 映像や音声が途切れると、仕事になりません。
- ライブ配信: 配信者にとって、映像が止まるのは致命的です。
- 家族での同時利用: 複数人が同時に高画質動画を見ても、全員が快適でなければなりません。
これらの用途では、ピークの速度よりも「常に一定の品質を保ち続ける能力」が何よりも重要です。
その点で、物理的な「専用トンネル」を持つ光回線に、今のところ絶対的な強みがあります。
あなたはどっち派?タイプ別おすすめ診断
5G SAと光回線は、互いに競合しつつも、得意なことが異なります。
これからの時代は、自分の使い方に合ったサービスを選ぶことが重要です。
5G SA(ホームルーター)がおすすめな人
- 一人暮らし・二人暮らしの方: 同時に接続する人数が少なく、通信が混み合う心配が少ない。
- 引っ越しが多い方、転勤族: 工事不要で、次の住居でもコンセントに挿せばすぐに使える。
- 賃貸物件で工事ができない方: 壁に穴を開ける必要がないので安心。
- 光回線の提供エリア外にお住まいの方: これまで諦めていた高速通信の強力な選択肢になる。
- ライトユーザー: 主な用途がWebサイト閲覧、SNS、標準画質の動画視聴など。
光回線がおすすめな人
- 家族で住んでいる方: 家族全員が同時に動画やゲームを楽しんでも快適。
- オンラインゲーマー・ライブ配信者: わずかな遅延も許されないシビアな使い方をする。
- 在宅勤務がメインの方: 安定したビデオ会議や大容量ファイルのやり取りが不可欠。
- 最高の通信品質を求める方: 速度、安定性、信頼性のすべてにおいて妥協したくない。
- 4K/8Kの高画質動画を日常的に楽しみたい方: 膨大なデータ量を気にせず利用したい。
まとめ:競合し、そして共存する未来へ
周波数(道)の違い:
- Sub6: 広いエリアで速い「今の5Gの主役」
- ミリ波: 特定エリアで超速い「未来のエース」
- NR化: 全国カバーを支える「縁の下の力持ち」
通信方式(運用方法)の違い:
- NSA: 4Gの力を借りる「ハーフ5G」
- SA: 5Gだけで完結する「真の5G」
最高の5G体験は、「ミリ波」や「Sub6」といった高性能な周波数帯を、「SA方式」で利用することで実現します。
現在、各通信キャリアはSAサービスのエリアを着々と拡大しており、対応するスマートフォンも増えてきています。
将来的には、私たちのスマートフォンがSAに接続するのが当たり前になり、これまで体験したことのないようなサービスが次々と登場するでしょう。
5G SAの登場は、インターネットの選択肢を劇的に広げる、非常にエキサイティングな出来事です。
特に、これまで固定回線を引けなかった人々にとって、大きな福音となるでしょう。
しかし、それは光回線の終わりを意味するわけではありません。
むしろ、「手軽さと機動力の5G」「揺るぎない安定性の光回線」というそれぞれの個性が際立ち、ユーザーが自分のライフスタイルや価値観(手軽さ重視か、品質重視か)で自由に選べる、より豊かな時代が到来すると言えるでしょう。
しばらくは両者が互いに進化しながら、適材適所で利用されていく。
それが、5G SAと光回線の未来像です。
